設備容量の調整は小サイズ×複数で

2016年8月10日

設備容量の調整は小サイズ×複数で

 姪が短期留学をするのに現金をいくら持たせるか、姉から相談されたことがあります。必要なのは昼食代と休日遊びに行くお金。「昼食代が1日600円、少し余裕を見て1000円、休日の外出1回に3000円、いや遠くに行くかもしれないから5000円。お土産を入れて6,7万円でもいいと思うけど、10万円もあれば大丈夫じゃない?」余裕に余裕を加えて、金額が膨らみました。

 工場やビルの設備も同じです。エアコン必要な蒸気、温水、圧縮空気などが足りなくならないよう、最大の負荷(使用量)プラス余裕をみた能力の設備が選定されているのが普通です。左ぺージのグラフは、事務所ビルの空調設備の、設計負荷(設計時の想定使用量)にたいする実際の負荷(実際の使用量)割合と稼働時間の関係を示したものです。
設計負荷の5~10%で運転している時間がもっとも長く、35%以下の運転が全体の約80%もしめています。
大きな容量の設備を低い負荷で運転するのでは省エネになりません。一人しか乗客がない電車と満員電車では、後者を動かす方が一人あたりを運ぶエネルギー量が少なく、経済的であるのと同じです。

 だから適切な能力の設備を選定することがもちろんたいせつなのですが、工場では物を製造する上で、供給する蒸気や圧縮空気が足りないということは許されません。したがって、設備に多少の余裕を持たせざるを得ません。ビルの空調設備でも真夏に人がたくさんいるところでも適切な室内環境を確保するという点では同様です。

 そこで、大きな能力の設備1台で対応させるのではなく、小さい能力の設備を複数設置し、不可変動に応じて稼働台数を調整する方法があります。この方法は、蒸気を使う場所の近くに小型ボイラーを設置すれば、蒸気を運ぶ配管も短くなり放熱を少なくできる、といった他のロスも減らすことができます。

余裕に余裕を重ねてエアコン容量が膨らむ

要点ボックス
・事務所ビルの空調設備は設計負荷の5~10%で運転している時間がもっとも長い!
・大規模1台よりも、小規模台数が省エネ

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