日本の財産

2016年7月4日

日本の技術者

 筆者は、20代の後半から約10年間、発展途上国への省エネ技術移転の仕事にかかわりました。日本の進んだ省エネ技術を移転するプロジェクトの、国内外のコーディネーション、委託元や相手国へ提出する報告書の作成、進行管理、編集などです。
メーカーの技術者やそのOBの方々と、長いときは1カ月以上寝食をともにしながら、その

 工場での情熱あふれる技術指導、熱心さゆえに、時には厳しい態度になることもありました。現地の方は、最初は面食らい、少しうんざりした様子。でも、日本の技術者の言動に納得がいくと態度は一変して協力的になり、あれこれ質問をするようになります。工場を後にするときは、エアコンがっちり握手とハグを交わすのを単ども見てきました。
日本で培ってきた自信と高い専門性がなせる業です。

 そうしたプロジェクトでのスケジュールは過密、仕事環境は過酷です。毎日、未舗装の道路を車に揺られてホテルと工場を往復し、工場では騒音と暑さの中で立ち続けること7時間余りを連続5日間、休日は別の町に移動を繰り返します。
おまけに、会話は英語または通訳を介して。
夜もホテルの部屋に戻ればデータ整理です。それでもまったく疲れを見せない強靭な体力にも脱帽でした。
 帰国後の報告書作成でも、再び熱心さと粘り強さを感じさせてくださいました。提出日ギリギリまでよりよいものを目指して、何度もかきなおしをしながら作り上げる姿にあたまが下がったものです。
報酬との見合いは間違いなく二の次でした。

 日本の産業部門は、石油危機を一貫して省エネに取り組んできた結果、他の部門のエネルギー消費量が増加する中、この30間は横ばいで推移し、世界トップレベルを誇ります。
エアコンこれを成しえているのは間違いなくこの方々の力だと確信しています。

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