エアコンファンコイルユニット方式と長所はユニットごとにＯＮ／ＯＦＦの切り替えが可能で、温度調整ができることです。このことから病院の病室やホテルの客室といった小部屋ごとの空調などに適しています。短所としてはエアコンユニットが分散配置されるので、保守管理にやや手間がかかることです。
　ファンコイルユニット方式は一般にペリメータゾーンの空調に適した空調方式です。ペリメータゾーンとは外部の熱的影響を受けやすい建物外周部のことで、概ね外壁や窓から　３．５～５ｍのゾーンのことです。インテリアゾーンとは比較的外部の熱影響を受けにくい建物の内部のことです。
　空調設備に何の計画性も無い場合、ペリメータゾーンの温熱環境の改善に適した空調方式を採用する必要性があります。

パッケージユニット方式・ウォールスルーユニット方式

Ｐｏｉｎｔ

• ・パッケージユニット方式の概要を把握しましょう。
• ・ウォールスルーユニット方式はペリメータゾーンの温熱環境改善にも有効な空調方式です。

　パッケージユニット方式は、冷凍機、ファン、エアフィルタなどで構成される工場生産のパッケージユニットを各階ごとに設置して空調を行います。エアコンユニット本体の吹き出し口から直接、調和された空気を送る場合もありますが、ダクトを接続して各室へ送るのが一般的です。
　従来は冷凍機をユニット内に内蔵し、冷房専用が主流でしたが、近年では冷暖房兼用のヒートポンプ式を採用する例が多くなっています。なお、ヒートポンプの原理については７３ページで解説します。
　パッケージユニット方式の長所としてはユニットごとの個別制御ができることと、ダクトスペースを縮小できることなどです。短所としては各階にユニットが分散されるので、保守管理に手間がかかるのと、各階ごとや空調ゾーンごとなどに機械室などのエアコンユニット設置スペースが必要になることなどです。