ビルや事務所における再熱除湿

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2014年9月2日

このように冷房の時は暑い空気が吹き出されていますが、では除湿運転のときはどうなるのでしょうか。
 除湿するときには、空気中の水分が水蒸気として空気中に存在できなくなる温度よりも低い温度まで空気を冷やさなければなりません。そのため、除湿運転の時にも冷房運転と同じように室外機からは熱い熱が捨てられることになります。

 外に捨てる熱の一部を使ってエアコンから室内に吹き出す空気を暖めることができれば、ビルや事務所など、大きな建物に使われていたような空気を暖めるボイラは必要なくなります。それによってボイラの運転に必要な燃料も使用せずに済むことになります。
 このようにもともと捨てられる熱を使うことを排熱利用と呼びますが、再熱除湿ができるルームエアコンの多くは、室外機から外に捨てられる熱を排熱利用をして、エアコンから吹き出される空気を暖めるようになっています。

再熱除湿のしくみ

 除湿しても部屋の温度を下げないようにする再熱除湿では、空気を冷やして水分を空気中から取り除くための低い温度の熱交換器と、空気を暖めるための高い温度の熱交換器が室内機の中に入っている必要があります。空気を冷やすための熱交換器はもともと室内機に入っていますが、暖めるための熱交換器は入っていないのでこれを追加しなければ再熱除湿ができなくなります。
 冷房運転の場合、圧縮機を使って室内機の熱交換器の中の圧力と温度を低くし、反対に室外機の熱交換器の中の圧力と温度を高くすることで部屋の熱を外に追い出していました。その際、室内機と室外機のそれぞれの熱交換器の圧力の差を保たせているのが膨張弁でした。圧縮機から膨張弁までの間は圧力が高く高温になりますが、逆に膨張弁から圧縮機までは圧力が低く低温になります。そこで再熱除湿ができるエアコンの場合、普通は室外機と室内機の熱交換器の間になる膨張弁を室内機の熱交換器の中にも膨張弁を取り付けた場合を考えて見ます。この場合には室内機の熱交換器のうち膨張弁の前の熱交換器の中の圧力が高く、膨張弁を出たところにある熱交換の圧力は低くなります。したがって膨張弁の前にある部分の温度は高く、後ろにある部分の温度が低くなります。このように膨張弁を室内機の熱交換器の中に取り付けることによって、室内機の中に熱い熱交換器と冷たい熱交換器をつくることが可能になりました。

 ただし、室内機の熱交換器の中に熱い熱交換器が入ったままになってしまい、暖める必要がない空気までも温めてしまうことになります。エアコン冷房の時には空気を暖める必要がないので、エネルギーを無駄に使ってしまうことになります。
 そこで、冷房運転の時には冷媒が膨張弁を通らず迂回できるように工夫します。再熱除湿運転のときには、この迂回路を閉じることで冷媒が必ず膨張弁を通るようにし、冷房運転の時には迂回路を開いて冷媒が通れるようにします。膨張弁を通ると弁の前後で圧力が大きく変わりますが、迂回路を通っても圧力はほとんど変わりません。そのため迂回路を開くと室内機の2つの熱交換器は両方ともほとんど同じ圧力、したがって温度もほとんど同じになります。冷房運転の場合には、従来から室外機についている膨張弁だけを使って室内機と室外機の熱交換器の圧力の差を維持することで、室内機を低温に、室外機を高温に保っています。

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