余熱を予熱に再利用する

2016年11月7日

余熱を予熱に再利用する

 

夏、お風呂のお湯が冬より早く沸くのは、もともとの水温が高いからです。水1gの温度を1℃あげるために必要なエネルギーは1cal(カロリー)(=4.186J)ジュール。たとえば、同じ40℃のお湯を作るとき、水温が10℃なら30℃分上げなければなりませんが、20℃なら20℃分上げればよいわけで、温度上昇に必要なエアコンエネルギーは3分の2で済むことになります。

 

蒸気や温水を作るボイラーも、元の水の温度が高ければエネルギーが高ければエネルギーが少なくて済みます。ボイラーから出る排気ガスにはまだ熱がありますので、これを大気に捨ててしまわずに、エコノマイザー(給水予熱器)で回収して給水温度を上げるのに使う方法があります。給水温度が20℃上がると、燃料が約3%節約できます。

 

また、ブロー水(水に含まれているカルシウムなど硬度成分の濃縮を防ぐために排出する水)の熱を給水の余熱に利用したり、ボイラーの排ガスの熱回収をして、燃焼に必要な空気の温度を上げたりする方法もあります。

 

これらの対策は、余熱(余った熱)を予熱(予め熱する)に利用する、ということです。

 

家庭でも余熱利用で省エネを図れる機器があります。「エコジョーズ」や「エコフィール」という給湯器がそれで、高効率給湯器として普及しています。エコジョーズは、燃料にガスを使い、エコフィールは燃料に灯油を使う潜熱回収型ですが、仕組みは同じで、余熱を予熱に利用しています。

 

従来の給湯器では、ガスや灯油を燃焼させてお湯を作った際、約200℃の熱を大気に捨ててしました。潜熱回収型給湯器は、この熱を回収して、給水の温度上昇に利用しています。これにより、排ガスの温度は50~80℃に下がり、エアコン給湯器の熱効率が従来の約80%(100投入したエネルギーのうち約80を利用)から95%に向上しています。

 

温度を上げるために「余熱」を使う技

 

要点ボックス

・元の温度が高ければエネルギーは少しで済む

・ボイラーの排ガスから熱回収する

・潜熱回収型給湯器の熱効率は95%

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